「40代になると年収は頭打ちになる」「転職は厳しい」——そんな声を聞いて、不安を感じていませんか。確かに若手中心の採用市場において、40代エンジニアは“即戦力以上”を求められるのが現実です。しかし実際には、役割設計と市場価値の打ち出し方を変えるだけで、年収100万〜200万円アップを実現している事例も増えています。
世界経済フォーラム『Future of Jobs 2025』では、専門スキルに加えて「問題解決力」「リーダーシップ」「テクノロジー活用力」が今後の中核スキルになると報告されています。また、Indeed JapanによればAI・データ関連求人は近年大幅に増加しており、専門性を持つ人材への需要はむしろ拡大傾向にあります[出典:WEF 2025、Indeed Japan 2025]。
本記事では、40代エンジニアが年収を伸ばせない本当の理由を構造的に解説し、市場価値の再設計、転職戦略、年収交渉までを体系的に整理します。実際の成功事例やKPI設計も交えながら、「管理職以外でも年収アップできる道筋」を具体化します。40代だからこそ選べる勝ち筋を、一緒に明確にしていきましょう。
40代エンジニアの年収が伸びにくい背景と「詰まりポイント」
40代エンジニアが年収アップに苦戦しやすいのは、能力不足というより「市場の評価軸が変わるのに、見せ方と取り方が変わらない」ことが原因になりがちです。dodaの平均年収データでは、40代全体の平均年収は519万円で、年収帯は300万〜600万円未満に過半が集中しています。つまり40代は“上がる余地”はある一方で、放っておくと中央値に吸着されやすい層でもあります。[出典:doda 平均年収(年齢別)2024]
また同じdodaの職種別データでは、技術系(IT/通信)でも年代で差が大きく、40代の平均が高く出る一方で、企業側が40代に期待する役割は「作れる人」から「成果を出す人」「再現性を作る人」に移ります。ここで期待役割に合わせた“実績の翻訳”ができないと、年収交渉の土俵に乗りにくくなります。[出典:doda 平均年収ランキング(職種別)2024]
年功序列が崩れた後に起きる評価のズレ
かつては年次が上がれば「役職」や「給与テーブル」が連動しやすい会社が多く、40代は“自然と高年収”に近づく設計でした。しかし現在は、職務(ジョブ)や成果で評価する企業が増え、年齢は年収の根拠になりにくい。結果として40代は「経験年数は十分だが、給与を上げるだけの“証明”が弱い」と見られるリスクがあります。
ここで重要なのが、評価される“証明”の単位が「技術スタック」ではなく「事業成果」へ寄っている点です。経産省の報告では、生成AI時代のDX推進人材に必要な力として「問いを立てる力」「仮説を立て・検証する力」「評価する・選択する力」などが挙げられています。これは、実装力そのものより“意思決定に効くスキル”が価値になりやすいことを意味します。[出典:経産省「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキル」2024]
例えば、Aさん(42歳・バックエンド)は「Java/Springで10年、AWS運用も可能」と職務経歴書に書いていましたが、面接で深掘りされるのは「その結果、何が改善され、どれだけ事業に効いたか」です。回答が“担当範囲”の説明で止まると、提示年収が据え置きになりやすい。一方で「障害件数を月◯件→◯件」「リリース頻度を週1→日次」「インフラ費を◯%削減」など、成果が数字で語れると評価レンジが一段上がります。
- 職務経歴書に「成果指標(数字)」が入っている割合:職務ごとに最低1つ以上
- 面接で語れる“成果のストーリー”(課題→打ち手→結果→学び):3本用意
- 意思決定に効いたエピソード(技術選定、優先順位付け、リスク判断など):2本用意
求められる役割が「実装」から「成果」に変わる
40代の採用は、企業にとって“投資回収が早いこと”が前提です。だからこそ期待値は「手を動かせる」だけでは足りず、チーム生産性やプロダクトの成長に寄与できるかが見られます。世界経済フォーラム『Future of Jobs 2025』でも、企業が重視するコアスキルとして分析的思考やリーダーシップ/社会的影響などが上位に挙がっています。[出典:World Economic Forum『Future of Jobs 2025』]
さらに追い風なのがAI・データ領域の需要増です。インディードリクルートパートナーズは、AI関連求人が2017年度比でエンジニア系職種において約6.6倍に拡大したと発表しています。40代でも「AIを“使う側”に回れる」「AI導入を業務に組み込める」人材は、年齢より希少性で評価されやすくなります。[出典:インディードリクルートパートナーズ 2025]
例えばBさん(45歳・インフラ)は、強みを「運用経験」から「SRE的に可用性とコスト最適化を設計できる」に再定義しました。SLO/SLIの導入で障害対応の工数を削減し、監視の標準化でオンボーディングを短縮。こうした“運用の仕組み化”を成果として示し、年収アップのオファーにつなげています。
- 成果を3カテゴリで整理:売上貢献/コスト削減/リスク低減(各2件)
- 直近12か月の成果で数字を出せるもの:最低5件
- AI活用の実績(PoCでも可):業務内で1テーマ(例:テスト生成、ログ分析、問合せ対応の自動化)
40代で落ちやすい人の共通点と、上がる人の共通点
落ちやすい人の共通点は、スキル不足ではなく「市場に伝わる形に整理されていない」ことが多いです。典型は、役割が曖昧(何でもやる=強みが見えない)、成果が“数字・再現性”で語れない、希望条件が先行して企業の課題と接続できていない、の3つです。
一方で年収が上がる40代は「自分の価値=会社の課題解決」で設計できています。ポイントは、企業が40代に期待する“再現性”を提示すること。設計・意思決定・標準化・育成・横展開など、本人がいなくても成果が続く仕組みを作れることが、年齢ではなく価値で評価される近道です。
例えば「Kubernetesを導入しました」だけでは評価が伸びませんが、「リリース頻度を月1から週1へ上げるため、CI/CDとKubernetesを導入しデプロイ手順を自動化。リードタイムを短縮し、障害復旧時間も短縮した」と語れると、同じ技術でも“成果”として伝わります。
- 応募先の課題仮説を面接前に作る:1社につき3つ(例:生産性、負債、品質、AI導入、採用)
- 職務経歴書の冒頭に提供価値を1行で置く(例:生産性改善と標準化でリードタイム短縮を再現可能にする)
- 頻出質問「強みは?」の回答を成果指標つきで30秒版/2分版の2パターン用意
市場価値を上げるためのスキル棚卸しとポジショニング
40代の転職で年収を上げる鍵は、「できること」を増やすより先に「価値が伝わる形」に並べ替えることです。企業が評価したいのは、ツール名の羅列ではなく“成果が再現できる人かどうか”。世界経済フォーラム『Future of Jobs Report 2025』では、企業が重要視するコアスキルの上位に「分析的思考」「レジリエンス(柔軟性・適応力)」「リーダーシップ/社会的影響」が挙がっています。つまり40代は、技術×思考×推進力の掛け算で勝ちやすい。[出典:World Economic Forum『Future of Jobs Report 2025』2025(Skills outlook)]
さらに経産省も、生成AI時代のDX推進人材に求められる力として「問いを立てる力」「仮説を立て・検証する力」「評価する・選択する力」を提示しています。ここがまさに40代が“経験”で優位を取れる領域です。[出典:経済産業省「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024(概要)」2024]
年収を決めるスキルは「技術」だけではない
年収を押し上げるのは、プログラミング言語やクラウド資格だけではありません。40代の評価は、ざっくり言えば「①事業に効く成果を出す力」「②成果を継続させる仕組み化」「③人や組織を動かす推進力」で決まります。生成AI活用が広がるほど、単純な作業や定型実装は効率化され、逆に“仕事の設計”や“品質・リスクの意思決定”が価値になりやすい流れです。マッキンゼーのレポートでも、生成AIは生産性向上の可能性が示されており、導入が進むほど「どこに使い、どう再設計するか」を担える人材が評価されやすくなります。[出典:McKinsey「The economic potential of generative AI」2023]
ここで大事なのが、あなたの経験を「技術スキル」ではなく「会社のKPIに変換できるスキル」に置き換えることです。たとえば、同じAWS運用でも“保守をやっていました”ではなく“可用性・コスト・セキュリティのKPIを継続改善した”に翻訳すると、年収レンジが上がります。
- 成果カテゴリを3つに固定:売上貢献/コスト削減/リスク低減
- 各カテゴリで語れる成果を最低2本ずつ用意(合計6本)
- 成果は「Before→After→根拠→再現条件」で説明できる形にする
棚卸しの手順:経験を“価値”に翻訳する
棚卸しは「スキル一覧表」を作る作業ではありません。「市場が買う形」にパッケージする作業です。おすすめは、次の4ステップです。
ステップ1:直近3年の“成果ログ”を時系列で書き出す
プロジェクト名ではなく、“起きていた問題”を主語にします。例:「障害が多く運用が疲弊」「リリースが遅い」「品質不具合が多い」「採用できず開発が回らない」など。
ステップ2:打ち手を「意思決定」と「仕組み化」に分ける
40代はここが強みになります。技術選定、優先順位付け、リスク判断、関係者調整、標準化、ドキュメント整備、育成など、“あなたがいなくても回る状態”を作ったかを拾います。経産省が提示する「評価する・選択する力」は、まさにこの領域です。[出典:経済産業省 2024]
ステップ3:成果をKPIで固定する
数字が出ない場合は、代替指標に変換します。例:障害件数/復旧時間(MTTR)/変更リードタイム/デプロイ頻度/問い合わせ件数/テスト工数/インフラ費/レビュー滞留時間/オンボーディング期間など。
ステップ4:再現性を言語化する
「なぜそれができたか」「別の現場でも再現できる条件は何か」を短くまとめます。ここがポジショニングの核になります。
例として、Cさん(44歳・アプリ基盤)は、職務経歴書が“担当業務の羅列”になっていたため、書類通過率が伸びませんでした。そこで「成果ログ→KPI→再現性」で整理し直し、冒頭に提供価値を1行で置いたところ、面接での質問が“技術確認”から“課題解決の深掘り”に変わり、提示年収のレンジも上がりました。ポイントは、スキルを増やしたのではなく、価値が伝わるように“翻訳”したことです。
- 書類KPI:応募20社あたりの書類通過率(まずは20〜30%を目標に調整)
- 面接KPI:一次面接で「成果の深掘り質問」が出た回数(目標:毎回)
- 準備KPI:成果ストーリー(課題→打ち手→結果→学び)を6本、30秒版/2分版で用意
40代の強みを最大化する専門領域の作り方
40代が年収を上げるには、「広く浅く何でもできる」より「課題の種類で専門家になる」方が強いです。なぜなら、企業は40代に“すぐ効く”成果を期待するからです。加えて、AI関連求人が大きく伸びている今は、専門領域を“AI時代に再定義”すると市場価値が上がりやすい。実際に『リクルートエージェント』のデータでは、AIに関わる求人が2017年度比でエンジニア系職種で約6.6倍に拡大したとされています。[出典:インディードリクルートパートナーズ(Indeed Recruit Partners)プレスリリース 2025-07-24]
専門領域を作るコツは、技術スタック軸ではなく「解く問題軸」で決めることです。たとえば次のように“肩書きの説明文”を作ります。
- 開発生産性:変更リードタイム短縮、CI/CD、テスト自動化、レビュー改善
- 信頼性:SRE、SLO/SLI、監視設計、障害削減、キャパシティ計画
- データ活用:DWH/BI、データ品質、権限設計、分析基盤、AI活用の業務組み込み
- セキュリティ:脆弱性管理、権限管理、監査対応、セキュア開発プロセス
- プロダクト推進:要件定義、ロードマップ、ステークホルダー調整、技術選定
そして“AI時代の上乗せ”を1つ付けます。例:開発生産性×AI(テスト生成・レビュー補助・仕様書の下書き・ログ要約)、信頼性×AI(インシデント分類、障害予兆の補助)、データ活用×AI(社内ナレッジ検索、問い合わせ対応の効率化)など。「AIを作る」より「AIを業務に組み込んで成果を出す」が狙い目です。
- ポジショニングKPI:応募先10社のJDを読み、あなたの提供価値が“上位3要件”に合致する割合(目標:70%以上)
- 差別化KPI:同職種の求人で繰り返し出る課題ワードを5つ抽出し、対応エピソードを各1本用意
- AI上乗せKPI:業務でのAI活用テーマを1つ実行し、改善指標(工数・時間・品質)を1つ残す
年収が上がる転職先の選び方と交渉設計
40代エンジニアが年収アップを実現するには、「応募数を増やす」より先に“勝てる市場”を選び、交渉が起きる設計を作ることが重要です。需要が伸びる領域に寄せるほど、年収はスキルではなく需給で押し上げられます。実際に『リクルートエージェント』におけるAIに関わる求人は、2017年度比でエンジニア系職種が約6.6倍に拡大しています。さらにLinkedInのデータとして、AI人材の採用は全体の採用より速いペースで伸びている旨が報じられています。需要が強い場所では、40代でも“条件交渉が成立しやすい”のが現実です。[出典:インディードリクルートパートナーズ 2025-07-24、Business Insider(LinkedIn言及)2025-01-15]
ただし注意点があります。年収が上がるのは「良い会社」ではなく「あなたの提供価値が、その会社の最優先課題に刺さる会社」です。ここからは、転職先の見極め方と、オファーを上げる交渉設計を“型”として具体化します。
年収が上がりやすい業界・企業フェーズの見極め
年収が上がりやすい転職先には共通点があります。ポイントは「技術が好き」ではなく「課題が重く、解ける人が足りない」場所を狙うことです。世界経済フォーラム『Future of Jobs Report 2025』は、AI・ビッグデータ、技術リテラシー、分析的思考、レジリエンス、リーダーシップなどの重要性が今後さらに高まると示しています。つまり企業側は“技術+意思決定+推進”のセットを求めており、その要件が強い業界ほど年収レンジが上がりやすい。[出典:World Economic Forum『Future of Jobs Report 2025』2025(Skills outlook)]
具体的には、次のような「課題が年収に直結する業界・フェーズ」を優先します。
- 成長投資が続く領域:AI活用、データ基盤、セキュリティ、クラウド最適化、開発生産性改善
- 事業インパクトが大きい企業:BtoB SaaS、FinTech、製造DX、医療・ヘルスケアIT、EC・物流テックなど
- 企業フェーズ:急成長(スケール課題が顕在化)/再成長(負債解消と改善が必要)/大企業の内製化(標準化と横展開が必要)
例として、Dさん(43歳・バックエンド)は「技術的に面白い」企業を軸に応募していたときは年収が横ばいでしたが、「開発生産性がボトルネックで、リードタイム短縮が最優先KPI」になっている企業に絞り、書類の冒頭を“価値提案”に変更。面接で「改善ロードマップ」を語れるようにしたところ、同じスキルセットでも提示年収が上振れしました。要は、会社側が“今すぐ困っていること”に一致させるほど年収が上がります。
- ターゲット選定KPI:求人票(JD)の上位3要件に対し、あなたの成果エピソードが2つ以上当てはまる求人比率(目標:70%以上)
- 需給チェックKPI:同じ職種・領域の求人が継続的に出ている企業数(直近3か月で複数回掲載されているか)
- 刺さり度KPI:面接で「今まさにそれで困っている」と言わせた回数(目標:一次面接で毎回)
職種別ルート:IC(個人貢献)/EM/PM/アーキテクト
40代の年収アップは「管理職になるかどうか」だけの話ではありません。むしろ今は、個人貢献(IC)でも高年収を狙えるルートが増えています。経産省の整理でも、生成AI時代のDX推進人材には「問いを立てる」「仮説検証」「評価・選択」といった、意思決定に関わる力が重要だとされています。これはICであっても“設計と判断で価値を出せる人”の単価が上がることを後押しします。[出典:経済産業省「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024(概要)」2024-06-28]
ルートごとの勝ち筋は次の通りです。
- IC(個人貢献):難易度の高い領域(性能、信頼性、セキュリティ、データ、AI活用)で“成果の再現性”を示す。テックリード/スタッフエンジニア相当が狙い目。
- EM(Engineering Manager):採用・育成・生産性・品質のKPIを回した実績がある人が強い。「チームを増やした」ではなく「アウトカムを増やした」で語る。
- PM:事業KPI(売上、継続率、解約、顧客満足)に近い人ほど年収が上がりやすい。要件の優先順位付け、意思決定の透明性、関係者調整が武器になる。
- アーキテクト:複数システムの整合、技術選定、移行戦略、ガバナンス(標準化・規約・セキュリティ)で価値を出せると強い。
実例として、Eさん(46歳)は「管理職は向いていない」と感じていましたが、ICルートに振り切り、「開発生産性×AI活用」を専門領域として提示。テスト生成やログ要約など“AIを業務に組み込む”ことで、開発リードタイムと品質に効く実績を作り、スタッフ相当ポジションで年収アップを実現しました。AI関連求人が伸びていること自体が追い風です。[出典:インディードリクルートパートナーズ 2025-07-24]
- ルート決定KPI:IC/EM/PM/アーキテクトのうち、最も面接通過率が高いルートを2か月で特定(応募→一次通過率で比較)
- 成果整備KPI:選んだルートに合わせた成果エピソードを6本(30秒版/2分版)
- 希少性KPI:求人票で繰り返し出る要件ワードを5つ抽出し、対応実績を各1本用意
オファーを上げる面接戦略と年収交渉の型
年収交渉は「最後に頑張る」ものではなく、面接の途中から始まっています。オファーが上がる人は、面接で“任せたい役割”を具体化し、その役割の難易度を企業側に認識させています。特に40代は「入社後に何を改善し、どのKPIをどう動かすか」を先に提示できると強いです。世界経済フォーラムが示すように、分析的思考やリーダーシップ、技術リテラシーなどの複合スキルが重要視される環境では、成果の設計図を描ける人が評価されやすい。[出典:World Economic Forum『Future of Jobs Report 2025』2025]
交渉の型はシンプルで、次の順番にすると失敗しにくいです。
- 面接中:課題仮説→優先順位→打ち手→KPI→90日プラン(ざっくり)を提示し、「あなたに任せたい領域」を言語化させる
- オファー前:希望年収は“レンジ”で出す(例:現年収+αの根拠を成果で示す)。単独提示ではなく「理由」とセット
- オファー後:比較軸を作る(役割の範囲、評価制度、裁量、学習環境、リモート等)。単に“上げてください”ではなく、期待役割と整合する報酬へ調整する
例として、Fさん(41歳)は一次面接で「変更リードタイムを短縮し、障害対応を減らす」という課題仮説を提示し、具体策としてCI/CD改善と監視設計の標準化を提案。KPIを「デプロイ頻度」「MTTR」「レビュー滞留時間」に置き、90日での着手範囲まで語ったところ、企業側が“想定していたより上のグレード”で検討し、提示年収が上がりました。交渉で勝ったのではなく、面接で役割の格を上げたのが本質です。
- 面接KPI:90日プラン(課題仮説・打ち手・KPI)を口頭で説明できた回数(目標:一次面接で毎回)
- 交渉KPI:オファー提示後に「職務範囲(期待役割)」が明文化されたか(目標:必ず確認)
- 年収KPI:希望レンジの上限での着地率(まずは上限着地1回を目標)
- 準備KPI:比較可能なBATNA(代替案)を2つ用意(他社選考、現職残留の条件整理など)
転職成功事例に学ぶ勝ち筋と失敗回避
ここまでで「市場価値の作り方」と「年収が上がる転職先の選び方」を整理しましたが、最後に効くのは“勝ち筋の再現”です。40代は若手よりも「失敗したときの損失(年収・役割・働き方)」が大きい分、成功者のパターンを取り入れて、地雷を避ける設計が重要になります。
参考として、dodaの年代別データでは40代の平均年収は519万円で、年収分布は300万〜600万円未満に56.3%が集中しています。つまり「中位帯にとどまる人が多い」一方で、上に抜けられる人は“行動と設計”で差がついているとも読めます。[出典:doda 年齢別平均年収 2024]
年収アップに成功した40代エンジニアの典型パターン
年収アップに成功する40代には、共通する“型”があります。結論から言うと、「需要が伸びる課題領域に寄せつつ、成果をKPIで語り、入社後の再現プランまで示す」人が強いです。世界経済フォーラム『Future of Jobs Report 2025』でも、分析的思考が最も重要なコアスキルで、次いでレジリエンス(柔軟性・適応力)やリーダーシップ/社会的影響が続くとされています。これは“手を動かす”だけではなく、状況に合わせて解を作り直し、周囲を動かす力が評価される流れを裏づけます。[出典:World Economic Forum『Future of Jobs Report 2025(Digest)』2025-01-07]
さらに、AI関連求人は伸びています。『リクルートエージェント』におけるAIに関わる求人は、2017年度比でエンジニア系職種が約6.6倍に拡大したとされています。需要の強い領域にポジションを置けるほど、年収レンジが上がりやすいのは自然です。[出典:インディードリクルートパートナーズ(Indeed Recruit Partners)プレスリリース 2025-07-24]
成功パターンの具体例として、Gさん(45歳・バックエンド)は「技術スタック」を前面に出すのをやめ、次の3点に絞って訴求を変えました。
- 課題:リリースが遅く、品質事故が多い(事業の機会損失が発生)
- 打ち手:CI/CD改善、テスト自動化、リリース手順の標準化
- 結果:変更リードタイム短縮、障害件数低下、レビュー滞留の削減(数字で提示)
面接では「90日でどこから着手するか」を語り、役割の格(期待値)を上げた結果、同じスキルでも“任せたい領域”が広がり、提示年収が上振れしました。ここで重要なのは、スキルの差ではなく“成果と再現性の提示”です。
- 成功KPI:成果エピソード(課題→打ち手→結果→学び)を6本用意
- 成功KPI:成果は必ず「変更リードタイム/デプロイ頻度/MTTR/障害件数/工数」などで1つ以上数値化
- 成功KPI:一次面接で「90日プラン(課題仮説・KPI・打ち手)」を1回は提示
年収が下がる転職の落とし穴
40代で年収が下がる転職には、典型的な落とし穴があります。代表は次の3つです。
- 落とし穴1:仕事内容の“楽しさ”だけで選び、会社の最優先課題と接続できていない
- 落とし穴2:役割が曖昧なポジション(何でも屋)に入り、評価軸が不明確なまま消耗する
- 落とし穴3:「現年収維持」を守ろうとして、需要が弱い領域に残り続ける
特に注意したいのは「スキルはあるのに、年収が上がらない」ケースです。原因は多くの場合、職務経歴書と面接が“担当範囲の説明”で終わり、企業が払う理由(事業成果・リスク低減・再現性)が見えないことにあります。dodaの分布が示すように、40代のボリュームゾーンは厚く、ここに吸着されると抜け出しにくい。[出典:doda 年齢別平均年収 2024]
失敗回避の実例として、Hさん(42歳・インフラ)は「年収を上げたい」と言いながら、応募先が“保守運用中心で投資が少ない企業”に偏っていました。結果、ポジションも評価も変わらず年収は横ばい。そこで「信頼性×コスト最適化(SRE的な価値)」に寄せ、AI活用の需要が伸びる領域(AI導入に伴う運用・ガバナンス整備)も選択肢に入れたところ、役割レンジが上がり、条件交渉が成立しやすくなりました。[出典:インディードリクルートパートナーズ 2025-07-24]
- 失敗回避KPI:応募先のJD上位3要件に、あなたの成果が2つ以上当てはまる求人だけに応募する
- 失敗回避KPI:入社後の評価軸(何で評価されるか)を面接で必ず確認し、曖昧なら見送る
- 失敗回避KPI:需要が伸びる領域(AI活用、データ、セキュリティ、信頼性、生産性改善)の要素を1つ以上含む求人比率を上げる
エージェント活用・媒体活用・リファラルの使い分け
40代の年収アップ転職は「応募の量」より「情報の質」で差が出ます。だからこそ、チャネルを目的別に使い分けるのが合理的です。また、LinkedInのデータとして、AI関連の採用は全体の採用より速いペースで伸びている旨がBusiness Insiderで報じられています。伸びる領域ほど競争も強まるため、情報優位(非公開求人、評価レンジ、役割設計)を取れるチャネルが有利です。[出典:Business Insider(LinkedIn言及)2025-01-15]
- 転職エージェント:年収レンジの交渉、非公開求人、役割の言語化支援が強み。特に「40代×年収アップ」は交渉の比重が高いので相性が良い。
- 求人媒体(直接応募):スピード重視。狙いを絞って応募し、職務経歴書は“企業ごとに提供価値を上書き”する前提で使う。
- リファラル:最も通りやすく、役割の擦り合わせもしやすい。40代は「実績と信頼」で勝てるため、過去の同僚・取引先・コミュニティを棚卸しすると効く。
実例として、Iさん(47歳・EM志望)は、媒体応募だと書類で落ちがちでしたが、リファラル経由で「採用の課題」「チームのボトルネック」が事前に共有され、面接で“解くべき課題”を直撃できました。結果として役割の範囲が広がり、年収交渉もスムーズに進みました。40代ほど「情報が先にある状態」で戦う価値があります。
- チャネルKPI:エージェント2社+リファラル2ルート+直接応募(狙い撃ち)を同時並行
- 交渉KPI:エージェント経由では「年収レンジ」「評価グレード」「期待役割」を事前に確認
- 質KPI:応募企業ごとに“提供価値の1行”を上書きし、書類の冒頭に必ず入れる
まとめ
40代エンジニアの年収アップは、「年齢の壁」を突破する勝負ではなく、「評価される土俵」を選び直し、成果が伝わる形に整える勝負です。dodaのデータでは40代全体の平均年収は519万円で、年収帯は300万〜600万円未満に56.3%が集中しています。つまり“真ん中にとどまりやすい構造”がある一方で、役割設計と市場価値の見せ方を変えれば上に抜けられる余地も大きいといえます。[出典:doda 年齢別平均年収 2024]
また、AI関連求人の拡大(エンジニア系職種で2017年度比約6.6倍)という追い風もあります。ここで重要なのは「AIを作れるか」より「AIを含む変化を前提に、開発生産性・信頼性・データ活用・セキュリティなどの課題を解けるか」です。需要が強い領域に寄せて、成果をKPIで語れれば、40代でも年収交渉が成立しやすくなります。[出典:インディードリクルートパートナーズ 2025-07-24]
実例として、これまで紹介したGさん(45歳)は、技術スタック中心の訴求から「課題→打ち手→KPI→再現性」へ切り替えただけで、面接の質問が“技術チェック”から“課題解決の深掘り”に変わり、役割グレードが上がって年収が上振れしました。スキルを増やすより先に、価値の伝え方を最適化したのが勝因です。
明日からできる3アクション
- 成果ログを6本作る:直近3年の仕事から「課題→打ち手→結果→学び」を6本書き出し、各エピソードにKPIを最低1つ付ける(変更リードタイム、デプロイ頻度、MTTR、障害件数、工数、インフラ費など)。
- 提供価値の1行を作る:職務経歴書の冒頭に「私は何の課題を、どう改善し、何を再現できるか」を1行で置く(例:開発生産性改善と標準化でリードタイム短縮を再現可能にする)。
- 勝てる求人だけに絞る:求人票(JD)の上位3要件に対して、あなたの成果エピソードが2つ以上当てはまる企業だけに応募する(“刺さる前提”を作ってから数を打つ)。
この3アクションを回すだけで、転職活動は「運任せの応募」から「再現性のある改善活動」に変わります。特に40代は、準備の質がそのまま年収レンジに直結します。
- 行動KPI:成果エピソード6本(各KPIつき)を1週間で作成
- 書類KPI:応募20社あたりの書類通過率を計測し、提供価値の1行と成果KPIを改善して30%を目標に調整
- 面接KPI:一次面接で「90日プラン(課題仮説・打ち手・KPI)」を口頭で提示できた回数(目標:毎回)
次の一手
40代エンジニアの年収アップは、情報収集だけでは実現しません。市場価値を言語化し、成果をKPIで示し、需要が強い企業に“刺さる形”で届けて初めて、条件交渉が現実になります。
特に40代は「役割の設計」と「年収交渉」の難易度が上がるため、自己流で進めるよりも、ハイクラスやIT領域に強い転職エージェントを活用した方が、年収レンジの上限に届きやすい傾向があります。非公開求人や評価グレードの内部情報を把握しているかどうかで、オファーの着地は大きく変わります。
まずは、あなたの市場価値を客観的に診断し、どのルート(IC/EM/PM/アーキテクト)が最も年収アップに近いかを整理してみてください。
40代は“遅い”のではなく、“戦い方が変わる年代”です。
準備を整えた人から、年収は確実に上がります。
