生成AIの普及でエンジニア求人は増え、AI関連求人は2017年度比で約6.6倍まで拡大したという調査もあります。[出典:Indeedリクルートパートナーズ 2025] 一方で、市場が熱いほど「とにかく応募させる」「希望とズレた求人を押し込む」「内定承諾を急かす」といった、“使ってはいけない転職サービス”も混ざりやすくなります。転職は一度の選択で、配属・年収・働き方(リモート可否)までまとめて固定されがちで、特にエンジニアはSES/受託/自社開発の違いを誤ると、キャリアの伸び方が大きく変わります。
この記事では、エンジニア転職で避けるべきサービスの特徴を「見抜ける形」に分解し、危険サインのチェック方法、面談での確認ポイント、ブラック企業を回避するためのKPI(数字で見る判断軸)まで具体化します。読み終える頃には、紹介されるがままに振り回されず、“自分の軸で選べる状態”を作れるはずです。
エンジニア転職で失敗が起きる本当の理由
転職市場の構造とエージェントのビジネスモデル
エンジニア転職の「失敗」は、本人の努力不足というより、転職サービス側のインセンティブ設計と情報の非対称性で起きやすくなります。多くの転職エージェントは、企業側から支払われる紹介手数料(採用決定時に発生)で収益化するため、「早く決めたい」「決まりやすい求人に寄せたい」という力学が働きます。ここで注意すべきは、あなたの理想(自社開発でプロダクト志向、フルリモート、年収アップ)と、エージェントの都合(採用確度・決定スピード)がズレた瞬間に、提案が“あなたのため”ではなく“成約のため”に最適化されやすい点です。
さらに、AI・情報処理の進展は企業の採用戦略そのものを揺らしています。世界経済フォーラムの調査では、2025〜2030に影響を与えるマクロトレンドとして「AIと情報処理の進展」を挙げる企業が86%とされ、変化のスピードが前提になっています。[出典:World Economic Forum『Future of Jobs Report 2025』] 変化が速いほど「急募」「未経験歓迎」「ポテンシャル採用」など曖昧ワードが増え、サービスの質の差が転職結果に直結しやすくなります。
なぜ「危険な転職サービス」が存在するのか
危険なサービスの多くは、(1)求人数やスカウト通数など“量”で優位に見せる、(2)仕事内容・配属・評価制度を曖昧なまま応募を促す、(3)内定承諾の期限で判断を急かす、という共通点を持ちます。背景には、企業側も「変化に追いつける人材」を探している一方で、現場の要件定義が間に合わず、求人票の粒度が低いまま走ってしまう現実があります。
経済産業省の資料でも、生成AI時代のDX推進人材に「問いを立てる力」「仮説を立て・検証する力」「評価する・選択する力」などが重要になる旨が示されています。[出典:経済産業省『生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024(概要)』] 逆に言えば、こうした力が問われる時代に、サービス側が“評価・選択の材料”を出さない(出せない)なら、その時点で危険信号です。
失敗事例から見る共通パターン
例として、30代前半のWebエンジニアAさんは「自社開発×年収アップ」を希望していましたが、面談直後から“急募”の求人ばかりを大量に提案され、仕事内容の確認(担当工程、開発体制、技術スタックの実態、リモート頻度)より先に応募が進みました。結果、内定は出たものの配属後は保守運用中心で、面接で聞いた開発業務は限定的。半年で再転職を検討することになり、年収も期待ほど伸びませんでした。
このパターンの本質は「情報が揃う前に意思決定させられた」ことです。特にエンジニア転職は、同じ“エンジニア求人”でも、SES/受託/自社開発でキャリアの積み上がり方が変わります。ここを曖昧にしたまま進むと、転職直後は良く見えても、中長期で“やりたい仕事の経験が積めない”という形でズレが顕在化します。
この章のKPI(明日からの具体アクション)
- 求人情報の開示率:提案求人のうち「担当工程/開発体制/使用技術/評価制度/リモート頻度」が明記され、面談で追加説明できた割合(目標:8割以上)
- 希望一致率:提案求人のうち「働き方(リモート)」「事業(自社/受託/SES)」「年収レンジ」「技術スタック」が希望条件を満たす割合(目標:7割以上)
- 意思決定の猶予:内定後に比較検討できる日数(目標:最低でも1週間相当の比較期間を確保。短すぎる場合は危険度が上がる)
- エージェント品質スコア:質問への回答速度、根拠の提示、リスク説明(デメリットも言うか)を各5点で採点し合計(目標:12点以上で継続、11点以下は乗り換え検討)
使ってはいけない転職サービスの具体的な特徴
求人の質が低い・SESばかり紹介される
最初に見抜きたいのは「求人の母集団が偏っているサービス」です。エンジニア転職の世界では、求人の見せ方が似ていても中身は別物で、特にSES(客先常駐)中心の提案が続く場合は注意が必要です。もちろんSES自体が悪いわけではありません。しかし、あなたが「自社開発でプロダクトを育てたい」「モダンな開発環境で設計から関わりたい」と考えているのに、説明が薄いままSES案件を“当たり前”のように並べられるなら、そのサービスはあなたの将来ではなく“決まりやすさ”を優先している可能性が高いです。
市場全体が活況なほど、こうした偏りは増えます。たとえばAI関連求人は2017年度比で約6.6倍まで拡大したというデータがあり、成長領域ほど「急募」や「未経験歓迎」などのラベルが増えやすい状況です。[出典:Indeedリクルートパートナーズ(2025年7月24日)] この局面で危ないのは、求人票の“肩書き”だけが先行し、配属や担当工程が曖昧なまま応募を進めるサービスです。
実例として、インフラ寄りの経験が長いBさんは「アプリ側に寄せたい」と希望しましたが、紹介されたのは「クラウド案件」「DevOps案件」と書かれたSES求人が中心。面談で深掘りすると、実態は監視運用が主で、開発比率はごく一部でした。結果として、転職後も開発経験が積めず、1年で再び転職活動をすることに。問題はBさんの努力ではなく、「求人の中身を検証する前に“それっぽい言葉”で意思決定させられた」点にあります。
危険サインはシンプルで、(1)配属先(自社/客先)が最後まで曖昧、(2)担当工程(要件定義〜運用)が書面で出ない、(3)開発体制(人数・役割)が答えられない、(4)技術スタックが“予定”ばかり、の4つです。どれか1つでも多発するなら、サービス側の質(もしくは扱っている求人の質)が低いと判断してよいです。
面談で希望と違う求人を強く勧められる
次の特徴は「あなたの希望を“理解したフリ”をして、別方向に誘導する」タイプです。面談で丁寧にヒアリングされても、その直後に希望とズレた求人が大量に届くなら危険度が上がります。とくに注意したいのは、希望条件を“言い換え”されるパターンです。たとえば「自社開発がいい」→「まずは経験を積める環境が大事ですよね(=SES/受託へ誘導)」、「年収を上げたい」→「内定が出た会社に早く入るのが一番(=比較を封じる)」など、論点がすり替わります。
背景には、転職市場そのものが急速に変化している事情があります。世界経済フォーラムの『Future of Jobs Report 2025』では、企業が変化要因として「AIと情報処理の進展」を86%で挙げています。[出典:World Economic Forum『Future of Jobs Report 2025』(2025年1月)] 変化が速いほど、現場要件が固まりきらない求人も増え、サービス側の提案力(要件の翻訳力)が問われます。ここで提案力が弱いサービスほど「とにかく応募」に寄りやすくなります。
実例として、Cさんは「フルリモート・モダンフロント(React/TypeScript)・プロダクト志向」を希望。しかし紹介は「リモート可(週1出社あり)」や「Vueも少し触れます(実態はjQuery中心)」など、微妙にズレた求人ばかり。面談で再度伝えると「今は市場が厳しいので妥協しましょう」と一括りにされました。市場の厳しさではなく、サービスが“希望を実現するための交渉・情報収集”を放棄していることが問題です。
内定承諾を急かす・情報開示が不透明
「内定が出たら早く決めてください」は、最も分かりやすい危険サインです。転職で後悔が起きるのは、判断材料が揃う前に決めてしまうとき。特にエンジニアは、入社後のミスマッチが“配属”という形で確定しやすく、取り返しがつきにくいです。にもかかわらず、(1)承諾期限が極端に短い、(2)他社選考の比較を嫌がる、(3)職務内容・評価制度・残業実態の資料を出さない、(4)面接のフィードバックが抽象的、という状況なら、サービス側があなたを守っていません。
経済産業省の整理では、生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルとして「問いを立てる力」「仮説を立て・検証する力」に加え、「評価する・選択する力」が重要だとされています。[出典:経済産業省「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024(概要)」(2024年6月)] 転職活動はまさに“評価と選択”の連続です。情報開示が薄いサービスは、あなたからこの力を奪ってしまいます。
実例として、Dさんは第一志望ではない企業から内定が出た直後、エージェントに「今日中に承諾しないと枠が埋まる」と言われました。焦って承諾した結果、入社後に評価制度と給与レンジの実態が想定と異なり、年収アップどころか伸び悩むことに。もし比較期間が確保できていれば、別企業の条件と照合して回避できた可能性が高い失敗です。
口コミが不自然に高評価なサービスの見抜き方
最後は「外から見えやすいのに、判断を誤りやすい」口コミ・評判です。星が高い=良いサービスとは限りません。危険なのは、(1)具体性がない称賛(“親身でした”だけ)、(2)短期間に投稿が集中、(3)低評価への反論が攻撃的、(4)紹介求人の内訳(自社/受託/SES)が語られていない、(5)“内定がすぐ出た”だけを成功とする論調、のように、意思決定の材料が欠けているケースです。
参考として、LinkedInが紹介した指標では「AI関連採用は全体採用より30%速いペースで伸びている」とされ、トレンド領域ほど“それっぽい求人・サービス”も増えやすい状況が示唆されます。[出典:Business Insider(LinkedInデータ言及, 2025年3月5日)] だからこそ口コミは、感想ではなく“検証可能な具体”があるかで見てください。
この章のKPI(危険サービスを排除するためのチェック指標)
- 求人の透明度スコア:提案求人10件のうち、担当工程・開発体制・配属形態(自社/客先)・リモート頻度・評価制度の5項目を「書面で」提示できた件数(目標:7件以上)
- 希望一致率:あなたの必須条件(例:自社開発、フルリモート、年収○○以上、特定スタック)を満たす求人比率(目標:6割以上。3割未満ならサービス乗り換え検討)
- 押し込み検知:面談後に「希望外求人が連続3件以上」または「応募を急かす発言が2回以上」出たらレッド判定(即座に面談の録メモを残し、条件の再提示or担当変更)
- 比較期間の確保:内定から意思決定までの比較時間(目標:最低でも複数社比較ができる余地を確保。期限が極端に短い場合は“条件交渉の余地”があるか確認)
- 質問回答の根拠率:質問に対し「事実(資料/数値/制度)」で返ってくる割合(目標:8割以上。“たぶん”“問題ないと思います”が多いなら危険)
安全なエンジニア転職サービスの選び方
良いエージェントの共通点
安全な転職サービス(特にエージェント)を見極める最短ルートは、「あなたの希望を叶えるための情報収集と交渉」を仕事としてやっているかを見ることです。市場が変化している今、企業側も採用要件を頻繁に更新します。世界経済フォーラムの『Future of Jobs Report 2025』では、2025〜2030に影響を与える技術トレンドとして「AIと情報処理の進展」を挙げる企業が86%とされ、変化が前提になっています。[出典:World Economic Forum『The Future of Jobs Report 2025』(2025年1月7日)]
この状況で“良いエージェント”は、求人票に書かれていない部分(配属、担当工程、開発体制、評価の実態)を企業に取りに行き、あなたの意思決定に必要な材料を揃えます。具体的には、次のような共通点があります。
- 最初に「絶対に譲れない条件」を3つに絞らせ、提案基準を合意する(曖昧な“何でもOK”にしない)
- 求人のメリットだけでなく、デメリットや懸念点(残業、開発比率、レガシー度合い)も先に言う
- 企業への確認事項を“あなたの言葉”で整理し、面接前にすり合わせてくれる
- 内定が出ても即決を迫らず、比較と条件交渉(年収・リモート頻度・配属想定)をセットで進める
たとえば、同じ「AI関連求人」でも中身は幅広く、データによれば『リクルートエージェント』におけるAIに関わる求人は2017年度比でエンジニア系職種が約6.6倍まで増えています。[出典:Indeedリクルートパートナーズ(2025年7月24日)] 求人が増えるほど“玉石混交”になるため、良いエージェントほど「増えた求人をどう選別するか」に時間を使います。
面談で確認すべきチェックリスト
安全なサービスを選ぶには、面談の場で“質問の質”を上げるのが一番効きます。ポイントは、相手が「確認して回答できる人」か、それとも「言い切りで押す人」かを判定することです。経済産業省の資料でも、生成AI時代のDX推進人材には「問いを立てる力」「仮説を立て・検証する力」に加えて「評価する・選択する力」が求められると整理されています。[出典:経済産業省『生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方2024(概要)』(2024年6月)]
この“評価・選択”を転職に落とし込むと、面談では次を必ず確認してください。
- 「自社開発/受託/SES」のどれが多いか(割合で答えられるか)
- 直近3か月で決定した求人の例(職種・年収帯・リモート頻度・選考期間)を出せるか
- 求人票にない情報(配属、開発比率、体制、評価制度)を誰が・どう取りに行くか
- 希望とズレた求人を提案する場合の“理由と根拠”(市場データ、要件の翻訳、代替案)を説明できるか
- 内定後の比較・交渉プロセス(承諾期限の延長交渉、年収交渉の材料、辞退の進め方)を最初に説明するか
実例として、Eさん(20代後半・バックエンド)は、最初のエージェント面談で「フルリモート」「設計に関わりたい」を伝えたものの、提案は“リモート可”の定義すら曖昧な求人が中心でした。そこでサービスを変え、上記チェックリストで面談したところ、別エージェントは「リモート頻度の実績」「チーム構成」「設計レビューの有無」まで事前に企業へ確認し、面接前に懸念点も共有。結果、同じ応募社数でもミスマッチが激減し、選考中のストレスが大きく下がりました。違いは“情報の取り方”です。
ブラック企業を避けるためのKPI視点
最後に、転職活動を「感覚」ではなく「KPI」で管理すると、危険なサービスを自然に排除できます。特に、AI関連求人が拡大する局面では、求人のラベルが増えて判断がぶれやすいので、数字で締めるのが有効です。[出典:Indeedリクルートパートナーズ(2025年7月24日)]
おすすめKPI(そのまま使える基準)
- 提案の精度:初回提案10件のうち、必須条件(例:自社開発、フルリモート、年収下限、主要スタック)を満たす件数(目標:6件以上)
- 情報取得力:求人票にない重要情報(配属、担当工程、開発体制、評価制度、残業実態)のうち、面接前に書面または具体情報で埋まった項目数(目標:5項目中4以上)
- リスク説明率:提案時に「懸念点」もセットで説明された割合(目標:7割以上。ゼロに近いなら“売り込み型”の可能性大)
- 比較期間の確保:内定〜意思決定までに他社と比較できる余地があるか(目標:複数社比較が可能。極端に短い場合は期限延長交渉の可否を確認)
- 希望の再現性:面談後に「希望とズレた求人が連続3件以上」出た回数(目標:0回。出たら要件の再合意or担当変更)
このKPIで動くと、良いサービスは数字が改善し、危険なサービスは改善しません。もし改善しない場合は、あなたの努力不足ではなく“サービスの構造的限界”であることが多いので、早めに乗り換えた方が結果的に最短になります。
まとめ|エンジニア転職で後悔しないために
エンジニア転職で失敗する最大の原因は、「情報が揃う前に決めてしまうこと」です。市場は拡大し、AI関連求人は2017年度比で約6.6倍に増加するなどチャンスも広がっています。[出典:Indeedリクルートパートナーズ(2025年7月24日)] しかし同時に、求人の質や転職サービスの質には大きな差が生まれています。世界経済フォーラムも、AIと情報処理の進展を主要トレンドとして挙げており、変化の激しい時代に“選ぶ力”が重要であることを示しています。[出典:World Economic Forum『The Future of Jobs Report 2025』(2025年1月7日)]
本記事で解説したように、使ってはいけない転職サービスには明確な特徴があります。
- 希望とズレた求人を大量に提案する
- 求人の中身(配属・工程・体制)を具体的に説明できない
- 内定承諾を急かし、比較を嫌がる
- 口コミは良いが、具体的な実績や内訳を示せない
逆に、安全なサービスは「あなたの判断材料を増やす」ことに時間を使います。メリットだけでなくデメリットも説明し、企業へ確認を取り、比較と交渉の余地を確保します。転職は情報戦です。だからこそ、“決めさせるサービス”ではなく“考えさせてくれるサービス”を選んでください。
明日からできる3アクション
① 必須条件を3つに絞る
自社開発か/リモート頻度/年収下限など、絶対に譲れない条件を3つに明文化。面談前に送付して合意を取る。
② 提案精度を数値で管理する
初回提案10件のうち、必須条件を満たす割合を記録(目標6割以上)。満たさない場合は要件の再合意か担当変更を検討。
③ 内定即決をしない仕組みを作る内定後は最低でも複数社比較できる期間を確保。期限が短い場合は延長交渉を依頼し、評価制度・配属・年収内訳を書面で確認する
エンジニア転職は、単なる職場変更ではなく「キャリア設計」です。SES・受託・自社開発の違い、担当工程、評価制度、技術スタック――これらを曖昧にしたまま進めないことが、後悔を防ぐ最大の防御策になります。
もし今使っているサービスに少しでも違和感があるなら、複数サービスを併用し、比較すること自体がリスクヘッジになります。選択肢を持つことは、交渉力そのものです。
あなたの転職が「消去法」ではなく「納得解」になることを願っています。

